ガラスで未来を創造する。

中島硝子工業株式会社

窓の方位と適したガラス

寒い時期には心地よい日差しも夏の暑さの中では一転して苦痛に変わります。そんな厳しい日差しを軽減してくれるガラスが遮熱ガラスです。遮熱ガラスは日光が当たる窓に取付けることで、日差しを和らげ窓際の暑さを軽減してくれます ※1。窓から室内に差し込む日差しは窓と太陽の位置関係によって変化するので、窓の向き、季節、時間による陽の当たり方から遮熱ガラスの有効性について考えてみます。

周囲に一切建物がなく、1方向しか窓が無い建物でシミュレーションを実施

一般的に“陽当たりの良い窓”というと南向きが真っ先に思い浮かぶと思います。そこで、右のように南側にのみ縦1700mm、横1700mmの窓がある建物を想定し、東京近辺での太陽の動きをシミュレーションした場合の室内床に出来る影を考えてみます。
 冬(1月1日)のシミュレーションでは概ね8~9時頃から日光が入り始め、12時には窓から約3mの位置まで光があたるのに対し、夏(8月1日)のシミュレーションでは12時でも窓から約50cmしか届きません。

南側の窓は夏50cm、冬3mの位置まで日差しが届きます

同様に窓が西側にある場合をシミュレーションしてみると、夏冬共に13時頃から日暮れまで陽が当たることになりますが、西日は夏冬共に部屋のかなり奥まで光が届いています。

西側の窓は夏も冬も部屋の奥まで日差しが届きます

太陽の高度(角度)が低い程部屋の奥まで日差しが届く

基本的に南側の窓には1日の中で太陽の高度が最も高くなる正午前後の光があたりますが、この太陽の高度は季節によって変わります。冬場は南中高度 ※2 が低く太陽が低い軌道を描く為、昼時でも室内まで光が差し込みますが、夏場は太陽が高い軌道を描く為、窓近辺しか日が当たりません。

対して西側の窓には昼過ぎから夕方にかけての陽が当たり、夕暮れ時の太陽は季節に関わらず低い角度となる為、季節によらず部屋の奥まで陽が当たることになります。

この為、つらい夏場の日差しを避けることを考えた場合、南側は窓から少し離れれば避けることが出来ますが、西側の窓から入る日差しを避けることは困難です。また東側も西側とほぼ同程度の陽当たりになりますが、夕方よりは気温が低いので幾分しのぎやすくなります。

東側の窓は西側の窓と同様部屋の奥まで日差しが届きます。

これらの点から遮熱ガラスの必要な方位を順位づけすると、西 > 東 > 南 の順になります。遮熱ガラスにもいくつか種類がありますが、一般的に 遮熱効果 が高いもの程、冬の日差しまで弱くなってしまうのは勿論、明るさも暗くなりがちです。安易にガラスを揃えたりせず、陽当たり、地域の気象条件、お部屋の用途や家全体を含めた断熱性を考慮の上、窓によってガラスを使いわけることをお勧めします ※3。北側の窓からは直射日光が差し込むことはないので、通常では遮熱を考慮する必要はありません ※4。(建物の外観や窓の色味を揃える場合に用いられます)


遮熱ガラスの種類

弊社で取り扱う遮熱ガラスには 熱線吸収ガラス熱線反射ガラス、合わせガラス構造の クールセイファー、遮熱LowEを使用した複層ガラスの LEトゥイングラス(遮熱タイプ)、遮熱ヒートミラーフィルムを使用した ヒートミラーガラス(遮熱タイプ)等がございます。用途に合わせてお選びください。


※ 1 遮熱ガラスの効果 は “室内に入る日差しを和らげる”だけでなく“室内に伝わる日差しからの熱を減らす”効果もありますので、ガラスに日光が当たる状況であれば、窓付近でなくとも冷房費の削減効果が得られます。
※ 2 太陽が最も高いときの高度を南中高度(太陽が真南に上がり、最も高い時間の地平線との角度)と呼びます。
※ 3 断熱性が高い住宅の場合、陽当たりの良い部屋は冬でも冷房が必要なほど室温が上昇することがあります。これにはお住まいの地域、陽当たり、部屋全体の断熱性、容積、窓の向き、大きさといった様々な要因が影響する為、ハウスメーカー、設計事務所の方とご相談のうえご検討下さい。
※ 4 北向きの垂直窓に直射日光が当たることはほぼ有りませんが、周囲の状況によっては向かいの窓の反射光等が差し込む場合があります。
※  上記シミュレーションは庇や周囲の建物等、窓に当たる太陽光を遮るものが一切無い条件で行っています。周囲に太陽光を反射、遮蔽する物がある場合、上記と異なる場合があります。
※  上記シミュレーションの太陽高度は東京を想定してあり、地域によって上記内容と多少異なります。