ガラスで未来を創造する。

中島硝子工業株式会社

複層ガラスの多層化

複層ガラスの対流

一般的な複層ガラスは2枚のガラスの間に空気の層がある構造で、空気層の厚みを増やすことで断熱性が向上します。しかしこの方法も空気層の厚みを増やせば増やすほど性能があがるというわけではなく、空気層の厚みがある程度を超えると、それ以上断熱性の向上が望めなくなります。これは複層ガラスの内部で起きる対流が原因で、一定以上厚みを増しても対流(空気の流動)が熱を運ぶことで断熱性が殆ど変化しなくなります。このような場合には空気が反対側まで対流しないよう空気層を分割し、1つ1つの空気層を適度な厚みに調整すればより高い断熱性を得ることができます。通常の複層ガラスの場合、ガラスで分断することになりますが、そうすると新たに追加したガラスの厚み分総厚を増やすか、空気層を減らす必要があります。またガラスが増えることで重量も増加しますので、サッシ等に使用する場合は動きが重くなります。 ヒートミラーガラス はこういった場合に適したガラスです。ヒートミラーガラスは空気層の分断を薄いフィルムで行うので重量や厚みを犠牲にすることなく、空気層を分断することが出来ます。

ガラスによる多層化

ガラスで空気層を分割するとガラスの厚みで空気層が減り期待した断熱性能が得られない。重量も大幅に増加する。
ヒートミラーによる多層化

ヒートミラーフィルムは厚みが薄い(約0.1mm)ので多層化しても空気層が殆ど減少せず、重量増加もごくわずか。

空気層の厚みと複層ガラスの熱貫流率
構成 複層ガラス全体の厚み(空気層の厚み)
12mm
(6mm)
15mm
(9mm)
18mm
(12mm)
22mm
(16mm)
25mm
(19mm)
31mm
(25mm)
FL3+空気層+FL3 3.3 3.1 2.9 2.8 2.8 2.8
FL3+空気層+LowE3 2.5 2.0 1.7 1.6 1.6 1.6
FL3+空気層+TC88+空気層+FL3 1.7 1.4 1.2 1.0

FL:通常ガラス,LowE:低放射ガラス,TC88:ヒートミラーフィルム,数字:厚み(mm)    
(U値計算条件 戸外:0℃ 室内:20℃ 単位:W/m²·K)    

表のように16mm以上の空気層を作ることが出来る場合にはヒートミラーの効果によって非常に高い断熱効果が期待出来ます。反面、空気層が12mm以下の場合はもともと対流の影響が少ないため、分断による効果は小さく、LowEガラスを使用した構成と同程度です。 しかしながら中空層が12mm以下の複層ガラスではヒートミラーガラスのメリットが全くないか、というと必ずしもそうではありません。中空層にアルゴンガスやクリプトンガス、キセノンガスといった断熱ガスを使用すると中空層12mmでも分断の効果が確認出来ます。

アメリカのエンパイアステートビルの省エネ改修にはヒートミラーフィルムを使用し、中空層にキセノンガスを充てんした超高断熱の ヒートミラーガラス が採用されています。


Southwall Technologies – News Release(2010/04)


断熱ガスを使用した複層ガラスの断熱性
断熱層厚み 構成 空気 アルゴン クリプトン
12mm FL3+G12+FL3 2.9 2.7 2.6
FL3+G12+LowE3 1.7 1.4 1.2
FL3+G6+TC88+G6+FL3 1.7 1.3 0.9
19mm FL3+G19+FL3 2.8 2.7 2.6
FL3+G19+LowE3 1.6 1.3 1.3
FL3+G9.5+TC88+G9.5+FL3 1.2 1.0 0.7
FL3+G6+TC88+G6+TC88+G6+FL3 1.2 0.9 0.6
25mm FL3+G25+FL3 2.8 2.7 2.6
FL3+G25+LowE3 1.6 1.4 1.3
FL3+G12.7+TC88+G12.7+FL3 1.0 0.8 0.7
FL3+G8+TC88+G8+TC88+G8+FL3 1.0 0.8 0.5
FL:通常ガラス LowE:LowEガラス TC88:ヒートミラーフィルム G:中空層 数字:厚み(mm)   
(計算条件 戸外:0℃ 室内:20℃ 単位:W/m²·K)   

※  建物の断熱性は窓だけでなくサッシや壁材等建物を構成する要素全ての影響を受けます。高性能なガラスを採用する場合には樹脂サッシの採用や壁材とのバランスを考えないと十分な効果が得られない場合があります。
※  HeatMirror®はSouthwall Technologies Inc.の登録商標です。