ガラスで未来を創造する。

中島硝子工業株式会社

風冷強化ガラスの見分け方

強化処理はガラスの強度を上げて、ガラスを割れ難くする加工です。その効果は案外大きく厚さ5mmのガラスでも、強化処理を行うと素手での破壊は困難になります。また万一割れた際もガラス全体が粒状に割れ、ガラスの破片による2次災害を軽減します。割れるというガラスの欠点をある程度補ってくれる強化処理ですが、加工を行っても見た目は殆ど変化しません。今回はそんな強化ガラスと未強化ガラスの判別方法をご説明します。


破壊による判別

破壊

JISでは強化ガラスを破壊した際50mm×50mm正方形の領域内の破片数が40個以上であることを規定してあり、工場では時折製品と一緒に破壊用サンプルを加工して確認しています。最も簡単確実な判別方法ですが、物が粉々になってしまうので使用したいガラス自体を判別することは出来ません。

歪み

ガラスを約700℃まで加熱し、強い風で急速に冷却して製造される風冷強化ガラスでは急冷時の温度ムラにより歪みが生じてしまいます。通常の使用ではさほど気になることはありませんが、浅い角度でガラス越しの景色を見る場合や、ガラス越しに一点の景色を見つめながら視線を移動させる場合、またはガラスに映る反射像を見る場合などでは歪みが見えやすくなります。未強化のガラスに歪みはほぼ存在しませんが、設置済みのガラスの場合施工状況によって歪みが生じている場合もあります。また強化ガラスの歪みには個体差があり、殆ど見分けがつかない物もあるので確実に判別するのは困難です。

歪みによる判別

応力計による測定

強化ガラスの強化応力を測定する応力計という道具があります。JIS R3222(倍強度ガラス)では強化応力の範囲が規定されており、倍強度ガラスのJIS認定を受ける際は必要になります。数字で結果がわかるので未強化、倍強度、強化ガラスの判別が可能です。ただしフロート製法で作られたガラスの錫面(ボトム面)でしか測定が出来ないので、事前に ガラス面の判別 が必要です。


偏光板による判別

2枚の偏光板で強化ガラスを挟み、偏光板の交差角度を調整すると、ガラスの頂点や端部付近に強化応力による歪みが見えます。簡単かつ結果がわかりやすいので工場内で判別の必要がある場合はこの方法で行います。偏光板が一枚しかない場合はガラスを液晶画面に向けて偏光板の角度を調節すると同様に確認できます。(液晶画面には偏光フィルムが使用されている為です。)またガラスを斜めから見るような浅い角度での反射光は偏光された光の割合が高くなるので、この場合も一枚の偏光板で確認可能ですが日光下のように明るい場所でないと困難です。

1枚の偏光板による判別
2枚の偏光板による判別

※  風冷強化ガラスはガラスの厚みの6分の1を超えるキズが発生すると、キズの大きさに関わらずガラス全体が粒状に破壊されます。これは強化ガラス内部に存在する強化応力のバランスが崩れたことによるもので、この際破片が思わぬ方向に飛散することがあります。人体に近い場所に設置する場合は合わせガラス等の飛散防止処理をお勧めします。
※  携帯電話などに採用されている化学強化ガラスは割れても粉々になりません。