中島硝子工業株式会社

床板ガラスの考え方

グランドキャニオンにスカイウォークというガラス張りの通路が設置され、一時ガラスの床が話題になったことがありますが、ガラス業界の展示会などで展示されている床板ガラスを観察していると、多くの方がガラスを避けて歩かれます。この場合は展示商品にキズをつけないための配慮とも考えられますが、実際に建物等に施工された場合でも高所に設置された上を堂々と歩かれる方は少ないようです。ここでは少しでも安心出来るように、当社で行う床板ガラスの選定手順を説明致します。

1. ガラスサイズに応じた荷重値の設定

1枚1枚のガラスが大きくなればその分ガラス1枚あたりに多くの人数が乗り、大きな荷重がかかることが想定されます。この為床板ガラスの強度検討ではガラスの大きさに応じて荷重を設定し強度検討を行います。また、人は歩くだけでも発生する荷重が体重の数倍にもなりますので、この点も考慮にいれて検討を行います。これによりよほど小さな物を除けば床板ガラスの大半は強化処理が必須になります。

小さいガラス
大きいガラス

小さいガラスは上に乗る人数が少ないので小さい荷重で強度計算を行います。

大きいガラスには多人数が乗る可能性があるので大きい荷重で強度計算を行います。

2. 万一割れた際でも落下を防止する為の合わせガラス構造

どんなに耐荷重に優れた厚いガラスを用いても、硬い物で強い衝撃を加えられた場合などは割れてしまうことが考えられます。このような場合でも合わせガラスであれば表面以外のガラスは割れずに残るので落下を防げる可能性が高くなります。この為床用ガラスの強度検討は表面のガラスが割れても残りのガラスで想定荷重に耐えられる構成の合わせガラスにします。*1

単板ガラス
合わせガラス

単板ガラス(1枚ガラス)仕様だと万一割れた場合ガラス上の人やものが落下します。

複数枚のガラスで構成する合わせガラスなら表面のガラスが割れても残りのガラスが落下を防止します。

3. 撓み量の検討

いくら強度的に十分であっても歩くたびに大きく撓むようでは、とても安心して歩くことが出来ません。そうならないよう想定荷重に対して合わせガラスの撓み量が一定値以下になるよう検討します。なお、撓み量を減らすには構成するガラスの厚みを厚くする、もしくは、ガラスを小さくするしかありません。強化処理は強度が増すだけで撓み量には影響しません。

撓み大
撓み小

強度的に十分でも撓みが大きいと不安です。また、ブランコのように撓みに合わせて揺らされると想定荷重を超える可能性があります。

撓みは小さい方が安心です。また、撓みが小さいと撓みに合わせて揺らすことも困難です。

床板にガラスを使用する時は、これら3点について検討を行い必要なガラス構成を決定します。したがって1枚も割れてない床板ガラスは2番目の落下防止措置により、1番目で行う検討より強度上の余裕があり、丈夫であるといえます。ただしどれほど安全を確保し、そのことを頭で理解したとしても"高所の透明の床"という点だけで避けられるのは当然かもしれません。いっそのこと ガラススパイダー を床板として使用すれば、たとえ説明書きがあっても殆ど歩く人はいないと思われますが、これまでに採用された事例はありません。*2

*1 割れを放置しても大丈夫ということではありません。割れを確認した場合は直ちに対応を行って下さい。
*2 ガラススパイダーは割れが発生した際に発見が困難です。事故に繋がる恐れがある為床板使用は推奨出来ません。